| Photo by YORIZO |
と、彼は言う。
頭がボサボサの彼はいつだって会話の最後はそう締めてくる。
僕はそんな彼の事がきらいじゃない。
誰にだってクセはあるもので、彼の場合はたまたまそれが
人との会話において、最終章の末尾に顕著にくっ付いている、というだけのことだ。
「それが君のやさしさであり、弱さである」
そう言われたら僕は、
あぁ、そうなのかなぁ、
やっぱりこういう事を考えている自分という人間は、
自分自身としては人に対するやさしさだと思っていたんだけれど、
それはまた、ある種の弱さでもあるのかなぁ、と、思う。
そして会話のケツの部分を掌握した彼は(ある一定の間合いを計ってから)最後に必ず、
「まぁ、とどのつまりは、立ち位置の問題なんだけどね」と、言う。
そう言われたら僕は、
あぁ、そうなのかなぁ、
やっぱり意見を言うという作業は、
どういった視点や、立場から言っているのかで変わってくるのかなぁ。
まったく彼の指摘は、つくづくその通りだなぁ、すごいなぁ、と、思う。
そして彼は、煙草を口にくわえる。
僕はマッチをすって、その煙草に火をつけてあげる。
煙を大きく吐き出してから彼は横目で僕を見て、
少しはにかんで、頭を撫でてくれる。
その時、僕はいつも、彼とずっとこうしていられたらな、と、思う。
夕日は、山のふもとに、静かに落ちていく。
その時、何かが焦げるような、ジリジリという音が聞こえた気がした。
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