2011年7月8日金曜日

世界はそれを愛と呼ぶんだぜ

Photo by YORIZO



「それが君のやさしさであり、弱さである」

と、彼は言う。
頭がボサボサの彼はいつだって会話の最後はそう締めてくる。


僕はそんな彼の事がきらいじゃない。

誰にだってクセはあるもので、彼の場合はたまたまそれが
人との会話において、最終章の末尾に顕著にくっ付いている、というだけのことだ。


「それが君のやさしさであり、弱さである」

そう言われたら僕は、
あぁ、そうなのかなぁ、
やっぱりこういう事を考えている自分という人間は、
自分自身としては人に対するやさしさだと思っていたんだけれど、
それはまた、ある種の弱さでもあるのかなぁ、と、思う。


そして会話のケツの部分を掌握した彼は(ある一定の間合いを計ってから)最後に必ず、
「まぁ、とどのつまりは、立ち位置の問題なんだけどね」と、言う。


そう言われたら僕は、
あぁ、そうなのかなぁ、
やっぱり意見を言うという作業は、
どういった視点や、立場から言っているのかで変わってくるのかなぁ。
まったく彼の指摘は、つくづくその通りだなぁ、すごいなぁ、と、思う。



そして彼は、煙草を口にくわえる。

僕はマッチをすって、その煙草に火をつけてあげる。

煙を大きく吐き出してから彼は横目で僕を見て、
少しはにかんで、頭を撫でてくれる。

その時、僕はいつも、彼とずっとこうしていられたらな、と、思う。

夕日は、山のふもとに、静かに落ちていく。
その時、何かが焦げるような、ジリジリという音が聞こえた気がした。

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